洋館の話
明治維新の神仏分離令で鎌倉のお寺でも次々と廃寺となりました。東京から近かったこともあり、その跡地は富裕層向けの別荘・別宅地として分譲され、そこに建てられた建物の多くが洋館だったことから、鎌倉の地にはいまでも洋館がたくさん残り、洋館好きの方々に長く親しまれ、また洋館巡りをされる方も多くいらっしゃいます。 石窯ガーデンテラスは、1922年(大正11年)にドイツ人の建築家によって当時の貴族院議員であった犬塚勝太郎氏の自宅として建てられました。犬塚氏が長くベルリンに滞在されていたことから、ドイツ人建築家とのご縁があったようです。
現在では浄妙寺の所有となっていますが、ほかの洋館のように公開していなかったため、歳月とともに傷みも激しくなってきていました。人の気配がない家は、どんどん廃れていくものです。大切な文化の遺産でもある洋館を生き返らせ、長く保存したいと考え、2000年に石窯ガーデンテラスをオープンしました。
1階はレストランとキッチンに大きくリフォームしましたが、個室に分かれた2階は、かつての面影を深く残しています。階段やトイレの窓のステンドグラスは建築当初のままいまでも美しく、この洋館を譲り受けたときの家具もいまなお大切に使われています。
洋館でありながら、和の意匠も取り入れたデザインは、いまなお新鮮でありながら、どこか心が安らぐような趣きが感じられます。石窯ガーデンテラスにいらっしゃったお客様にこの洋館の魅力をもっとお伝えしたいと考えております。